本記事ではKACE システム導入アプライアンス(SDA)のデータのバックアップについて説明します。
ハードウェア障害の発生やアップグレードの失敗に備えて、データの損失を防ぐバックアップ計画を立て実行することが重要です。
KACE SDA には自身のバックアップ機能はありませんが、重要なデータ(システムイメージ、タスク、スクリプトインストールなど)は定期的にバックアップされる必要があります。
SDAデータバックアップのスケジュール化およびオフボード転送の一連の流れについては以下の記事をお読みください。
SDAシステム導入アプライアンスのデータバックアップ方法 (4300798)
KACE SDAにはアプライアンス全体のバックアップと復元を行う機能はなく、SDAサーバー自体の設定(パスワードやネットワーク設定、ライセンスキー等)を復元を可能なデータとして取得できません。
展開に使用する作成データについてはエクスポートすることができます。エクスポートにより重要なデータをアプライアンスの外部に保管します。
KACE SDAにおけるデータのバックアップは、作成データを (1) 移動可能な形式にエクスポートする、 (2) エクスポート済みのパッケージを外部へ保存する ことで成り立ちます。
1. データをエクスポートする ( \\k2sdaaddrs\restore 共有から取り出せる状態にする)
2. 外部のストレージサーバー上の保存先にコピーする
1-1. エクスポート
設定 | パッケージ管理 | パッケージのエクスポート へ移動して必要なアイテムにチェックをしてアクションからエクスポートを実行します。
種類として次のものを選択できます。
ASRイメージ(macOSの形式であるため現在は使用されない)
プレインストールタスク
中レベルのタスク
ポストインストールタスク
データベース
K-image
スクリプト形式のインストール
ドライバ
ネットワークインベントリ
カスタム展開
ブート環境
ネットワークスキャン
ユーザープロファイル
タスクグループ
USMTスキャンテンプレート
wim
●重要と判断されるもの(通常ユーザーにより作成されたデータを含む)
・スクリプト形式のインストール(ソースメディアが含まれます)
・システムイメージ・ブート環境(KBE)
・新規作成・編集済みのプレ/中/ポストインストールタスク
・ユーザープロファイル (アップロード済みの場合)
・USMTスキャンテンプレート(作成済みの場合)
エクスポート時にイメージに割り当てられていたプレ・中レベル・ポストのタスクは エクスポート・インポートで同時に移動されますので、タスク個別のエクスポートは必ずしも必要ではありません。
▲重要ではないと判断されるもの(選択しない)
デフォルト組み込みのプレ/ポストインストールタスク: 修正する必要がないため不要
データベース: サポート調査用のみ、復元には使用できません。
ドライバ: drivers共有のファイルのみ該当(KBE用のドライバのみエクスポートできます。他のOS用のドライバーは driver_postinstallの下に配置されるため含まれません。)
展開モデル・OS用の ドライバについてはドライバーフィードで再取得できないものついてはエクスプローラーで \\k2sdaaddrs\drivers_postinstall\ の下からコピーしておきます。
1-2.ファイルの確認
アクションメニューから選択したパッケージのエクスポートを行うことで、SDAのrestore共有(\\k2sdaaddrs\restore )にパッケージファイル(*.pkg, *.xml)が出力されます。
PREFIX<ID>_<Unix_time_stamp>_<microseconds>.{pkg,xml}
PREFIXの例 :SI …スクリプト形式のインストール、KI… K-Image形式のシステムイメージ、WI… WIM形式のシステムイメージ、PO… ポストインストールタスク
重要: エクスポートされたファイルをインポートする場合にアプライアンス製品のバージョンはエクスポートした環境と同一バージョンである必要はありません。インポート側が同じバージョンまたはより新しいバージョンであれば不都合はありません。
これらファイルのペア(pkgとxml)を外部のファイル共有やクライアントPC上などにコピーします。
エクスポート済みパッケージを自動で外部転送したい場合にはオフボードパッケージ転送を構成することで行えます。
考慮事項:
KACE SDAには全体のバックアップの機能はないため、オフボードストレージサーバーにてバッアップが削除されないように管理することは非常に重要です。
エクスポートされるアイテム全体のサイズとKACE SDA上の空きディスク容量については注意を払うべきです。
各エクスポートアイテムはSDA restore共有上に2つのファイルとして配置されます。.pkg ファイルは実データを含んでいます。.xml ファイルはそのパッケージの中身についての説明する情報をもっています。リストアのためには両方のファイルが保持されなければなりません。これらのファイルは restore共有に書き込みされるためSDAの (datastoreファイルシステム) 空き容量を消費します。空きが20GBを下回るとSDAの多くの通常の操作で失敗が発生しだすようになります。そのため、エクスポートアイテムの全体の容量 が SDAの空き容量 - 20GB を超えないようにすることが非常に重要です。
バックアップされるデータの全容量が SDAデータストアの利用可能な空き容量より大きい場合、一度にエクスポートするのではなくて4つや2つに対象を分割して 別の曜日/異なる時刻 にエクスポート/転送 を行うのは良いやり方といえます。 オフボード転送設定画面の "復元のクリーンアップ" (後述)オプションが必要になります。
エクスポートが完了する前に転送タスクを開始してハングすることを避けるために、エクスポートジョブと転送タスクの間に時間を十分に設けることが重要です。推奨される方法は エクスポートが終わると想定される時刻から24時間は間をあけてから転送タスクが開始するようにすることです。充分なマージン時間を設けて、エクスポートタスクが遅くなっても転送タスクと衝突しないようにしてください。
エクスポートがスケジュールおよび手動で試みられても現在のアイテムのバージョンとエクスポート済みのアイテムのバージョンが同じ場合、エクスポートは開始されません(エクスポートリストの "バージョン"列の数字 と"バージョンがエクスポートされました"列の数字)。 この挙動はおなじアイテムバージョンのデータが複数回エクスポートされないようにするためです。この挙動により、restore共有およびオフボードストレージサーバー上の領域が節約されます。エクスポート済みのアイテムはバージョンが変わるまでは再びエクスポートされなくなります。言い換えると、もしも、あるアイテムがエクスポート・オフボードストレージサーバーへのコピー・restore共有上で削除された後に、さらにオフボードストレージサーバー上から削除されてしまえば、そのアイテムはバックアップデータが存在しないまま新規エクスポートもされないままとなってしまうことを意味します。再びエクスポートできるようにするには アイテムの編集と保存を行ってバージョン番号を増加させる必要があります。そのような考慮無しにrestore共有上から(イメージやスクリプト形式のインストール、POタスクなどの)パッケージファイルは削除はされるべきではありません。
2-1. 設定 | パッケージ管理 | オフボードパッケージ転送 へ移動します。
2-2. バックアップを有効にする にチェックを入れて表示される項目に入力します。
実行のスケジュール: 実行させたいスケジュールを指定します。1日(毎日)、平日、週末、曜日 および時刻を指定します。
バックアッププロトコル: プロトコルを選択します。FTP,SFTP,Sambaから選択します。
バックアップサーバーのホスト名またはIP: 接続先のホスト名またはIPアドレスを入力します。
パスまたは共有名: パスまたは共有名を入力します。
ユーザ名:対象へのユーザ名を指定します。
ユーザーパスワード: ユーザーのパスワードを指定します。
復元のクリーンナップ: オンにすると転送後にSDA上のrestore共有ディレクトリからファイルを削除します。
テストボタンを押して テスト結果のテキストエリア に "成功" と表示された場合、宛先に smb_test.txt というファイルが作成されます。
設定を保存するために 保存ボタンを押します。
2-3. 設定した時刻を経過後コピーが完了すると data_YYYYMMDD_hhmmss というフォルダに エクスポート済みのファイルがコピーされています。
考慮事項:
宛先のストレージサーバーはSDAのすべてのデータを扱うために十分な容量をもっていなければなりません。実際にはタスクを以前のバージョンに戻す場合に備えて複数バージョンの同じタスクを保持することも想定すると実際にはもっと空き容量が必要となるはずです。
バックアップデータをプッシュすることがどのくらいのインパクトになるか、利用可能なネットワーク帯域、ほかのリソースへ与える影響も考慮すべきです。
もしオフボードストレージサーバーが他のアプリケーションのために使われていたら転送時間に影響するかもしれません、あるいはそのアプリケーションのパフォーマンスのに影響があるかもしれません。
オフボードパッケージ転送の設定画面で [復元のクリーンアップ] のチェックボックスが有効の場合、各アイテムのファイルはオフボードストレージサーバーへコピーされた後でSDAのrestore共有上から削除されます。これによりディスクスペースが解放されます。このオプションの使用はSDA上の領域を節約するのに役立ちますが、オフボードストレージサーバーでは勝手にファイルが削除されないように慎重に管理することが求められます。
どの頻度でバックアップをおこなうかはほぼSDA上で変更されるデータの量に依存します。大抵の場合は週一回で大丈夫と考えられますが実際にはお客様の環境とリスクの見積もり次第です。 エクスポートを金曜日の夜に開始し、転送を日曜日の午前2時に開始される設定がほとんどです。なお、自動エクスポートとオフボード転送の設定を選択した場合でも、手動のバックアップが必要になるかもしれないことは記憶に留めておいてください。
これら2種類の操作はそれぞれ手動で行うこともできますし、ご使用環境の要請に応じてスケジュール実行させることもできます。いずれの方法も可能であり、短所もあります。
手動でバックアップを行う方法の主な問題は 「定期的に実行することを覚えておく必要がある」ことです。
またデータをエクスポートしてオフボードストレージサーバー(バックアップデータの宛先)へコピーするのはデータサイズに依存して時間がかかることがあります。
スケジュールバックアップにもまた短所がいくつかあります。オフボードストレージサーバーがバックアップデータを保持できる容量を保証する事、エクスポートのジョブとオフボードストレージサーバーへの転送のジョブが重ならないようにスケジュールする事、オフボードストレージサーバーのアドレスと認証情報をメンテナンスする事 等です。
パッケージエクスポートのスケジュールを管理する (4265058)