この記事では管理対象インストールによるソフトウェア配布の設定手順を説明します。
管理対象インストールとはKACE システム管理アプライアンス のソフトウェアインベントリ(あるいはソフトウェアカタログインベントリ)に登録済みのアイテムを エージェント管理デバイスに対して配布する機能です。
この機能を使用することで管理者権限を持たないユーザーが使用している(ログオン/サインインしている)デバイスのOSに対し、KACEエージェント経由で追加のソフトウェアインストールさせることが出来ます。
ソフトウェアを展開する管理対象インストールを構成するには以下の準備が必要です。
exeファイル、msiファイル等、それだけでインストールを完了できるファイルです。 必要なファイルが複数のファイルで構成される場合にはZIPアーカイブにまとめて登録することができます。(後述)
対話ウィザードを発生させずにインストールを実行できるコマンドラインです。 msiexec では /qn /i などが存在しますが、そのファイルで実際にそのとおりに機能するかどうかは提供元の資料を確認の上、 ユーザー環境にてテストいただく必要があります。
メモ : KACEテクニカルサポートでは各ベンダーのソフトウェアに対する具体的なインストールの指定方法やインストーラーファイルの扱いはご案内いたしかねます。あらかじめご理解いただきますようお願い申し上げます。
【注意】 コマンドに実行ファイル(.exe)とmsiexec(.msi) を除く形式、例えば .bat(cmd.exe)ファイルやwusa.exe等 (system32以下のコマンド)を呼び出す場合、あるいはインストーラーがログオンユーザーに依存する場合には 以下の記事の「(3) その他」をご参照ください。
管理対象インストール失敗時のトラブルシューティング (4257079)
デフォルトのソフトウェアインベントリでは ソフトウェアについては Uninstallレジストリ内のDisplayName, DisplayVersion の値を元にしています。 Windows更新についてはWMIの情報を元に登録されます。
Uninstallレジストリに登録されないようなアイテムのインストールの有無を識別したい場合や、同じソフトウェアでもマイナーバージョンの違いに細かく依存させたくない場合にはカスタムインベントリルールを使用したソフトウェアアイテムを構成するか、ソフトウェアカタログで認識できるソフトウェアであればソフトウェアカタログを使用する方法があります。
ソフトウェアカタログアイテム(インベントリ | ソフトウェアカタログ )のファイルを使用する場合:
手動でインストールした環境にて、そのソフトウェアがインストールされているデバイス詳細の ソフトウェア情報 「検出済みソフトウェア」にて認識されるものかどうか確認する必要があります。
少なくとも1台のコンピュータデバイス上で、事前準備で調べたコマンドラインによるソフトウェアの非対話(サイレント)インストールが成功するかどうかを確認します。
そのデバイスのインベントリを更新してデバイス詳細の「インストール済みプログラム」(あるいは ソフトウェア内の報告済み、インストール済みのパッチ ) 「検出済みソフトウェア」にインストールしたソフトウェアアイテムあるいはソフトウェアカタログの情報が追加されていることを確認します。
「インストール済みのソフトウェア」のアイテムをクリックしますと、ソフトウェアインベントリのアイテムが表示されます。このソフトウェア情報が登録されている事を確認します。
ソフトウェアアイテム:
名前: タイトル
バージョンの表示:空または数字
発行元: ベンダー名
管理対象インストールではデバイスの「インストール済みプログラム(=ソフトウェアアイテム)」の検知の有無により配布を行うかどうか決定します。 ソフトウェアタイトルが同じでもバージョンが異なれば別のソフトウェアアイテムの扱いになります。 そのためパッチ適用などでマイナーバージョンが変わった場合、管理対象インストールから見ると設定したソフトウェアがアンインストールされたように認識されます。(そしてインストールの再実行がスケジュールされる)
重要 この挙動を緩和するにはカスタムインインベントリルール付きのソフトウェアアイテムを作成する必要があります(マイナーバージョンに依存しないでソフトウェアの有無を検知するルールを指定する必要がある)。 マイナーバージョンに依存しないソフトウェアアイテムを使用するには「カスタムインベントリルールの活用例 (4257132)」の3のシナリオをご参照ください。 v7.0以上ではソフトウェアカタログインベントリを管理対象インストールのソフトウェアに使用できます。こちらはマイナーバージョンの変更に依存しにくく、カタログソフトウェアにインストーラーを割り当てて使用することもできます。
「サポートされているオペレーティングシステム」の選択: チェックが入っているプラットフォームが管理対象インストールで配布可能な対象OSになります。
「関連付けられたファイル」の確認とファイルのアップロード: ファイルのアップロードと関連付け からファイルをアップロードすると 関連付けられたファイル に表示されます。
メモ: インストーラーファイルが単一でない場合のインストーラーの関連付け方法
インストーラーを構成するファイルが単一のmsiやexeではない場合、SMAではZIPファイルにまとめることでソフトウェアアイテムへの割り当てが行えます。
あるソフトウェアのインストールに以下のファイル群が必要であるとします。
setup.exe
install.dat
folder1\...
folder2\...
インストールには、これらを同じフォルダにおいて以下のように実行することでインストール実行出来るものとします。
setup.exe /option1
この場合 上記ファイル・フォルダをまとめたZIPファイルを作成してソフトウェアアイテムに登録します。
今回の例では setup.exe, install.dat, folder1, folder2をfilename.zipのような1つのZIPファイルにまとめて
filename.zipの直下にsetup.exe, install.dat, folder1, folder2が収まるようにします。※
このファイルをソフトウェアアイテムにアップロードします(関連付けします)。
※filename.zipの中にフォルダfilenameがありその下にsetup.exe, install.dat, folder1, folder2 が収まるのではないことに注意してください。
展開時にこのzipファイルは自動的に解凍され、指定したコマンドラインが実行されることが期待されます。
このZIPに含まれるソフトウェアの非対話インストールのコマンドラインが「setup.exe /option1」であると仮定すると
「デフォルトインストールのオーバーライド」を選択し、「完全なコマンドライン」に setup.exe /option1 と指定すれば、
ZIPがコピーされたフォルダをカレントディレクトリとしてインストールのコマンドを実行することになります。
「検出されたデバイス」に手動でそのプログラムをインストールしたコンピュータが表示されていることを確認します。
[保存]ボタンをクリックしてソフトウェア詳細の画面を終了します。
アップロード後、ソフトウェア 一覧が表示されます。ここでアップロードを行ったソフトウェアアイテムに ファイル添付のアイコン がついていることを確認します。
ソフトウェアアイテムへのファイル登録が完了しましたら 配布|管理対象インストール からアクションの選択 にて「新しいアイテムの追加」を選択します。 管理対象インストールの詳細設定画面が表示されます。
名前: 管理対象インストールの名前 (任意)
実行:
無効(すぐに配布されることを防ぐために最初は無効で保存して、後から「いつでも実行」等を選択してください)
いつでも実行(次回に有効):次回のインベントリ周期で実行します。
起動時: ログオン前に実行(マシン起動時)/ PCの起動時にログオン前のタイミングで実行されます。
ログイン後: ログオン後に実行(デスクトップ読み込み前)/ ユーザーがログオンして、デスクトップが表示される前のタイミングで実行されます。
ユーザーのログイン時: ユーザーのログオン中に実行 / ユーザーがログオフしている場合には実行しません。
ユーザーのログオフ時: ユーザーのログオフ中に実行 / ユーザーがログオンしている間には実行しません。
インベントリ
カタログ登録済みソフトウェア … ソフトウェアカタログの検出済みアイテムから選択します。
ソフトウェア … ソフトウェアインベントリのアイテムから選択します。
関連付けられたファイルのあるソフトウェアのみを表示 : チェックがはいっている場合、ソフトウェアのリストにてファイルが関連付けされたアイテムのみ表示します。チェックをはずすとファイルのアップロード有無にかかわらず全ソフトウェアアイテムから検索し選択できます。
関連付けられたファイル(必須)
ダウンロードされたファイルを削除する: チェックすると 作業後にデバイスからダウンロードファイルを削除します。
インストールオプション
デフォルトのインストール または デフォルトのインストールのオーバーライド のいずれかを選択します。
デフォルトのインストールオーバーライド 選択時:
このオプションではインストールのコマンドラインを自分で指定するときに使います。任意にコマンドラインを指定できます。
内容を編集後、代替の場所の下側の影付きエリアには使用されるインストールコマンドとソフトウェアアイテムの適用対象が表示されます。
例
代替の場所: デフォルトではチェックなし。代替の場所(=ファイル共有に配置したファイル)を介することでSMAから直接ファイルを転送しないで指定されたファイル共有から取得するように設定できます。 このオプションを使用する場合、代替のダウンロード場所の設定方法 (4281976) の記事をご参照ください。
展開
デバイス ... ソフトウェアの展開先のデバイスを選択します。
ラベル ... ソフトウェアの展開先をデバイスラベルで選択します。
通知
これらの項目では実行前後にデスクトップにメッセージを表示するかどうかまたその内容を指定します。
詳細は 管理対象インストールのデスクトップ通知設定 (4253435) を御参照ください。
実行前にユーザーに警告
初期メッセージ
完了メッセージ
展開期間: 展開を行うことを許可する時間帯を指定します。
たとえば、いつでも実行で、開始時間12,終了時間14と設定すると、 PCが起動しているタイミングで毎日お昼の12:00-14:00の間でエージェントがスクリプト更新を行うタイミング(デフォルト1時間周期)で配布が行われます。
最大試行回数: インストールコマンドが失敗する場合の制限値を指定します。このカウントは管理対象インストール詳細を保存しなおすとリセットされます。
優先順位: 管理対象インストール間において実行を優先すべき順序を指定します。数字は小さいほうが優先されます。インストールとアンインストールではアンインストールが優先されます。
スクリプト更新間隔を経過し展開期間に該当する時間帯を経過するか "今すぐ実行" を行います。
一旦デバイスにインストールされ、インベントリ上で配布対象のソフトウェアがソフトウェアアイテムと紐付けられたマシンについては配布対象として割り当てられていても再度インストールは試みられません。
手順は以上となります。
うまくいかない場合の切り分けについては以下の記事を参照ください。
管理対象インストール失敗時のトラブルシューティング (4257079)