この記事ではKACEシステム導入アプライアンス(SDA)およびリモートサイトアプライアンス(RSA)を使用するときの外部DHCPサーバー(SDAオンボードDHCPではない)に設定するべきオプションについて説明します。
各DHCPサーバー製品での設定手順については各製品のドキュメントをご参照ください。
展開対象のクライアントPCにて、SDAによる作業(イメージ展開)を行うためにはメディアマネージャで作成した K2000ブート環境(KBE) をそのPC上で動作させる必要があります。
KBEは Windows PEに対してSDA用のモジュールを組み込みKACE SDAと連携して動作する、ハードディスクにインストールすることなく動作することを想定した小さなOS環境です。
KBEを起動するには ネットワークやUSBフラッシュメモリからメモリ上にロードさせる必要があります。 一般的にはネットワーク経由でロードすることが多くそのためにはPXEブートが出来る環境が必要です。
PXEクライアント(コンピュータのハードウェアのROMに搭載されたプログラム) が起動時にDHCP要求を行います。
PXEクライアントはDHCPサーバーから割り振られた自身が使用するIPアドレスを取得し、さらにパラメータとして ブートサーバー = SDAのIPアドレス と、ブートファイル名 のオプションを受け取ります。
PXEクライアントはDHCPサーバーから受け取った情報をもとにTFTPでSDAのIPアドレスからブートプログラムを取得して実行します。
KBEは起動時に自身がDHCPクライアントとして自身のIPアドレスの取得を行い、接続先であるSDAのIPアドレスを得るために DHCPオプションパラメータ 66 と244の取得を試みます(kgetdhcp 66, kgetdhcp 244)。オプション66の取得時にエラーが返れば244の値を問い合わせます。
66,244のいずれも取得できない場合、KBE作成時に指定されたSDAのIPアドレスが使用されます。
KBEはSDA上のファイル共有をYおよびTドライブ(peinst共有=Y、petemp共有=T)としてマウントします。
KBEはSDAと通信して必要なモジュールを読み込み、KBEホーム画面 を表示して起動が完了します。
SDAは PXEサーバー(TFTP要求を受け付ける)としても動作します。さらにオンボードDHCPサーバーを有効にしている場合、DHCPサーバー(ただしSDA上で基本的な設定のみに限定)としても機能します。
SDAオンボードDHCPサーバーを使用せず外部DHCPサーバーを構成する際、 上述の66/ブートサーバー = SDAのIPアドレス と、067/ブートファイル名 をそのDHCPサーバーが通知できるようにする必要があります 。
加えて 非Windows DHCP環境では KBEコマンドが66のパラメータを得られない場合があり、非Windows DHCPおよびRSA環境でSDAを利用する際には244も設定してください。
まとめると、外部DHCP構成ではスコープに以下の DHCP設定を行うことが推奨されます。
Microsoft DHCPオプション | ISC DHCP Server(Linux等) | ISC Kea | 備考 |
---|---|---|---|
066 ブート サーバー ホスト名 K2SDAIPアドレス | next-server K2SDAIPアドレス; | "next-server": "K2SDAIPアドレス", | K2SDAIPアドレス の値はPXEとKBEのために2か所で使用される |
067 ブートファイル名 "ブートファイル名" | filename "ブートファイル名"; | "boot-file-name": "ipxe.efi", | PXEのみ使用します。DHCP実装によっては filename, bootfile-name ,bootfile の場合があります。 UEFI(iPXE)用に "ipxe.efi"、 LegacyBIOS(iPXE)用に "undionly.kpxe" を与える必要があります。※ |
244 手動で定義 K2SDAIPアドレス | option KACE244 code 244 = ip-address; option KACE244 K2SDAIPアドレス; |
... | KBEが使用します。PXEには影響しません |
この表ではDHCPのレンジ、DNSサーバ、ゲートウェイIPアドレスなど一般的な構成オプションについては言及しません。
これらのオプションの設定方法についてはナレッジベース記事もご参考ください。
BIOSおよびUEFI PXE用に外部DHCPサーバーを構成する (4243138)
※ ブートファイル名は v3.7までは 設定値は "k2000.0" (UEFI非対応)のみでしたが、v4.0以上でipxeベースの現在の構成(ipxe.efi/undionly.kpxe)に変更されました。"k2000.0"についてはv6.0以上で廃止されました 。2025年現在では事実上 レガシーBIOSモードのデバイスは想定されないため undionly.kpxe の振り分けは紹介しません。
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